ソ二一から事業再譲渡を受け、その復活の第一弾として製品化されたフラッグシップ機。
昨今のデバイスのトレンドから、位相差/コントラストを問わず撮像素子AFを最大限に活かす50MP機。
撮像素子AFを前提とするため、結果的にOVFとの決別を決断。EVFでα.9/α.900を超えるファインダーを目指す考え方から、4K/120fps/10bitのOLED表示素子をファインダーに採用。AdobeRGBの色域にも対応している。
目標仕様上表示素子が大型化するため、今までのコンベンショナルなEVF接眼光学系では歪な軍艦部の形状になることから、表示素子→ペンタプリズム→接眼光学系の構成を採る。
その構成は、おおよそ嘗ての一眼レフのファインダースクリーン部を表示素子に置き換えたものに近似したものとなる。
企画当初、可動全面ハーフミラーによるOVFの模索もあったようだが、目標性能(30万レリーズ耐久と耐衝撃)に対して強度的に成り立たない為、このカタチに落ち着いた経緯がある。
解像度以外の表示性能としては、8コマ/秒までLVを伴った連写が可能、表示遅延0.010秒以下といったものが挙げられる。
LV連写に関しては、ソ二一時代には顧みられることが結局なかった仕様だが、OVFに対して一切の負い目を作らないことを目指し、「流し撮り」等の表現手段を阻害しない仕様として漸く陽の目を浴びたものである。
また、レリーズタイムラグと表示遅延を合わせたレイテンシの合計は0.060秒以下と、想定している同クラス(C社5Ds系/N社D8x0系)OVF機のシャッタータイムラグと遜色ない性能を実現している。
映像処理系は、辺境期に開発の始まった製品でもあるため、ソ二一時代の処理エンジンであるBIONS XI(Eleven)のクワッドコア版である「Quad BIONS XI」を採用。
充分な容量のバッファメモリも相まって14bitRAWで36枚まで連写が可能となっている。RAW連写枚数の尺度は、フィルム1本分というイメージとのこと。
マウントはAマウントを継続。最大の特徴は初期のAマウントレンズでも撮像素子によるAFがフィルム一眼レフ時代以上の性能で可能であるということ。このために純正レンズに関してはレンズ駆動に必要な全てのデータをボディ内に持つ(レンズマイコンはレンズの識別のためだけに用いられ、制御には使用しない)。これにより、どの時代のαレンズでも、そのレンズの当初仕様に対しては制約なく使用することが可能となっている。
また、撮像素子に対して充分な精度を保証するため、SSM化以前のレンズを駆動するボディモーターの駆動系にはシームレスギヤを使用し、バックラッシュがピントに影響しないように配慮されている。
連写性能は、最大12コマ/秒であり、最高速まで像面位相差によるコンティニュアスAFが動作する。8コマ/秒まではLVが機能し、全てのAE/AFが連動する。
測距エリアは、全面を255点に分割したスポットAF、ブロック内の測距点を9~64点まで設定可能なグループAF、自動選択が可能であり、各々、コントラストAFと像面位相差AFを協調した制御を行っている。
また、顔/瞳検出を持ち、瞳検出に関しては左右の手動選択時はワンタッチで選択可能にすることでポートレートでの表情変化に即応できるとしている。
手ぶれ補正は5軸式+レンズシフト(OAS仕様のレンズのみ)のハイブリッド式を採用。これにより、望遠での手ぶれ補正能力が向上するとされている。
シャッターに関しては、当初グローバルシャッターによる完全メカレスを検討していたものの、結果的に時期尚早と言う結論に至り、電子シャッター+メカシャッターのハイブリッドとなっている。
当然高画素機であるため微ブレ対策としてシャッターバランサーを装備するが、基本的に全開可能な秒時までは電子シャッター、それ以上はメカという切り分けで制御される。その切り分けは概ね1/320秒であり、X接点もこれに連動する。
メカシャッターによる最高速はα.9を彷彿させる1/12000秒である。
もちろん、ローリングシャッター歪のネガティブはあるもの、電子シャッターのみを使用したサイレントモードも採用している。電子シャッターのみの最高速は1/32000秒である。
メモリスロットはUHS-III対応のSDXCデュアルスロットを装備している、CFを使用しない理由は縦位置グリップ仕様にも絡んでくるが「コンビニで買えるもので最低限撮影が続行できること」を目指したためと言う。
デザインは、概ねα.900をブラッシュアップしたような感じと言えばいいだろうか。内蔵フラッシュは装備されていないが、後述の通り、電波式ワイヤレスシンクロのマスター部としての機能は予め実装されている。
オプションとして縦位置グリップはもちろん準備される。すべての機能をストレス無く使用するための操作部材を装備。ソ二一時代との違いは凡そα.7 Digital以来久々に単3電池に対応したことであろう。単3電池の場合は8本使用する。
この考え方は先にも書いたが「コンビニですぐ調達できるもの」という考え方を採用している。
カメラとは大抵の場合屋外で使用される。屋外の、どこで使用されるかわからないものなのだから、残容量で撮影続行が難しい状態になってもどんな時でも手に入れられるもので続行できることが最大のユーザメリットであるという視点に立脚している。
フラッシュシステムは、原則的にソ二一時代からのキャリーオーバーだが、新たにWi-Fiを応用した電波式無線シンクロを装備している。従来でもプリ発光によるワイヤレス調光は可能であったのだが、レイアウトフリーと制御信号を発光することによる絵作りへの影響をなくすため、光を使わない電波式に移行することは割と早期に決まったようである。ペアリングと設定はNFCにより自動的に行われるため、システムのイメージよりもだいぶ容易に設定可能である。
NFC/Wi-Fi/Bluetooth/GPSは装備される。Wi-Fiの機能は、より実戦的なものを目指すことから、丁度昨今のカシオ製カメラに見られる様な撮ったものを同時に対象デバイスに送信する機能を軸にしたものになっており、他社製品に見られるような多機能さはないが必要な物だけは実装しているというもの。大きい特徴は、RAWのみ撮の影時に関しては本来タグで使われるJPEG画像のみを設定変更なしで送信するようになっていることである。Bluetoothは主に対象デバイスとのペアリング/Wi-Fi設定情報の授受に使用される。
また、今回よりレンズシステムの呼称が変更された。Aマウントレンズは「LOKKOR」、E/FEマウントレンズは「Heqxanon」となる。これまでどおりマウントアダプターでEマウントシステムでAマウントレンズを使用することは可能である。
新たに発表されたレンズは、APO LOKKOR G 70-200mm F2.8 SSA OAS、LOKKOR G 24-105mm F4 SSA OAS、LOKKOR G 12-24mm F4 SSA、APO LOKKOR G 135mm F1.8 SSA OAS、APO LOKKOR G 85mm F1.4 SSA OAS、LOKKOR G 35mm F1.4 SSA、LOKKOR G 24mm F1.4 SSAの7本。特に単焦点系に関しては24mmを除き長い間リフレッシュされなかったもののリニューアルとなる。70-200mmに関しては短期で3代目へのリニューアルとなるが、カメラのキャラクター上数が見込めること、ハイブリッド手ぶれ補正の恩恵を真っ先に受けるべきであることがその理由となる。以降のロードマップは、まず内蔵モーター化から取り残された単焦点系のリニューアルを中心に進めるとされている。※SSA:超音波モーター/OAS:レンズシフト式手ぶれ補正
価格はオープンプライスだが、カメラ量販店に於いて348000円前後と予想される。競合機に対して攻撃的ともいうべき低めの価格設定をしているが、プロジェクトリーダーは「多くの写真愛好家がこの10年や20年の間でどれだけ写真に使えるお金が増えているかを考えてみた時、実は殆ど増えてないんじゃないか?!という結論に至り、血を流さないぎりぎりの値段で、まず手にして欲しいという思いがある」と語った。
今回の製品発表は、高野山で行われた。その理由は、旧三ノル夕の創業者、田島和雄の墓地が高野山であり、創業者への新たなる意思表明と言う意味があるという。
発表会の最後の、「もう一度、あなたがカタチにしたかったものをカタチにしていきます。」との言葉がその気持を表しているように感じた。
っつー、「ぼくがかんがえたさいきょーのなんとか」でした☆